手作り感6
とにかく、最初の頃は困ったときの組み手・・なんて感じで、手作り感演出のために用いること頻繁だった。
組み手=手作りの証明 という方程式だ。
安易だね。
当時、売り込みのために展示会やクラフトフェアなどにも頻繁に参加し、露出をあげることに必死。
必然的に、お客さんとふれあい、会話をする機会も多く得た。
そこで気付いたこと・・
組み手に興味を払うお客さんなんて、ほとんどいないこと。
たまにこのような造作をしげしげと眺めている人がいると、決まって同業者かアマチュア木工家。
つまり、技法などに興味を払うのは、木工関係者しかいないということだ。
お客さんに、これが蟻組みですよ・・
伝統技法なんですよ・・
丈夫ですよ・・
などと説明するも、関心を引くことはできず上滑り。
頭を抱え込むことになった。
迷路。
どうすれば手作り感を演出できるのか?
試行錯誤の日々は続き、あるとき気付いた。
手作りとは造作のことではない。
手作りとは技法ではない。
手作りとはデザインではない。
そして、手作りとは演出するものではない。
手作りとは、お客さんの話を良く聞く事。
お客さんの思いを自分のものとして理解し、共有すること。
そして、それを形にすること。
そう、
手作りとは心構えのことなのだ。
ちょっと視界が開けた思いがした。
デザインの自由度が広がった。
手作り感は小手先で演出するものではなく、自然と感じていただけるもの。
例えば単純な箱でも、お客さんとの対話から生まれたそれには、自ずから手作り感が漂う。
そうありたいし、そうあるべきだ。
悩んでいるとき、手作りの看板を外そうかと思った。
でも、やはり看板を外すのではなく、看板の意味を考え続けることを選んだ。
そして、今でも悩み続けている。
手作り・・
何気なく、そして、便利な言葉だが、深耕するほどにその本質は限りなく深くなっていく。


最近のコメント