2017年10月 6日 (金)

ノーベル文学賞

ノーベル文学賞が、日本出身の英国人、カズオ・イシグロ氏に決まったとのこと。
昨日はなかなか賑やかでしたね。

・・・

私は、本屋に行くときには必ず海外書籍のコーナーに立ち寄るのですが、海外文庫ではハヤカワが大手で、ハヤカワepi文庫のシリーズにカズオ・イシグロ氏は多く登録されており、読んだことはないけど、名前だけは知ってました。

明らかに日本人の名前なのに、なぜ海外文庫なのだろう?
と思って手に取ったこともあるのですが今ひとつ食指が動かず、買うのは別の作家のものばかり・・・ で、今に至ります。

これを機に、ちょっと一冊、、と思っているのですが、、もう多分、売り切れだろうなぁ。

・・・

英国人なので、大袈裟に喜ぶのはどうか? という意見もあるようですが、イシグロ氏本人も川端康成、大江健三郎に続く受賞で嬉しい、と言っているように、日本人としてのアイデンティティーを濃厚にお持ちの人物のようです。

そのような心情の作家がどのような小説を書くのか?
俄然興味が出てきましたよ♪

これを機に、ちょっと一冊。
でも、売り切れだろうなぁ 多分。

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2017年5月16日 (火)

山日和

新田次郎の山岳小説を読んでいたら、また山に登りたくなりました。

山に登るといっても、ワタクシの趣味はマイナーな低山なので、せいぜい山歩き・・という程度ですが。。

今週は天気がよく、毎日絶好の山日和。
このままリュックを持って・・・という誘惑を振り払って仕事してます。 ハイ

週間予報を見ると、週末から休日まで晴れ模様。
ならば、土曜日、もしくは日曜日か、 ムフフ。

で、どこの山域に行こうか?
ルートは?

と、夢想しながらの今週であります。

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小説はこれ。
アイガー北壁で遭難した日本人登山家が実名で出てくる、実話です。


ワタクシはせいぜい600メートルほどの超低山ですが、それでも遭難はありえますのでなめてはいけません。
地形図を見ながら、ルートを思い描いております。
(でも、実はこの机上検討が一番楽しかったりするんだけどね・・・)

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2012年12月25日 (火)

永遠のゼロ2

ホームページ更新しました→木工房シンプル


つづき・・・・
物語は、宮部久蔵の人となりを浮き彫りにしていくのと同時並行に、アメリカとの戦争が一体どういうものであったのか、という実態についても明らかにしていきます。

ミッドウェー、ガダルカナル、ラバウル、サイパン等々・・ これらのキーワードで語られる戦いがどのような戦略的位置づけにあったのか、そして、それらの中で将官たちは、兵士たちは、どのように振舞ったのか。

これらについて、概観としてはある程度知っているつもりではあったのですが、それがいかに貧弱な知識であったのかを痛感させられました。

この小説は、最前線で戦った兵士たちの目線をずっと追い続けるのですが、それがために生々しい戦闘の実態が克明に描写されています。
戦争とは、つまるところは人を殺すことです。
勝つため、生き延びるためには相手を殺し続けなければならない。

平和な時代に生きている我々にとってはなかなか実感を伴いにくいことですが、殺すか殺されるかの論理が支配している戦時下においては、その中で各自が文字通り必死に自身の死と向き合うことを強制されます。
それは日本もアメリカも同じ事ですが、兵士の死を軽んじる日本に対し、兵士を生き残らせることを考えるアメリカとの対比を描く場面などもあり、このあたりからも当時の日本軍の性格が浮かび上がってくるようです。

日本はだんだん追い詰められていき、ついには沖縄戦へ突入します。

そして、かつては文字通り特別攻撃隊であったものが、徐々に通常作戦として特攻が常態化するようになっていく狂気・・・
そして、特攻の殆どは途中で迎撃機に撃墜されてしまうことや、敵艦にたどり着いても突入前に艦の機銃掃射で撃ち落されてしまう実態。

このため、どれほどの機が突入に成功したか分からないため、パイロットは敵艦発見の時から突入するまでモールス信号を打ち続けることが義務付けられており、基地の受信班は、このモールス信号が続いている長さで成功か、失敗かを判断したという事実。

ツーという信号音が途切れる時間で判断する。
短ければ撃墜されて失敗、長ければ成功。
いずれにしろ、ツー音が切れた時が、パイロットの死を意味したということ・・

やはり、私たちは戦争というものをこれっぽっちも知っていないように思い知らされました。


話を宮部久蔵に戻しますが・・・
彼は優秀なパイロットでありながら臆病者であり、戦場では逃げまわってばかりいた。

果たして、それは本当であったのか?

これ以上はネタバレとなってしまいますので書くのを控えますが、この小説を読み終えて、真の勇気とはどのようなものであるのか、ということを改めて考えさせられました。

死が是であり、美徳であった当時にあって、生き残りたいと言う言葉を公言して憚らなかった彼は、しかし、最後は特攻に志願して死を選びます。

何故・・・??
それを追い求めた先に発覚した驚愕の真実。
真の勇気とは・・・ 

読み終わった後に放心し、じっとその余韻に浸りたくなるような小説には滅多に出会えるものではありませんが、本当に数年ぶりにそのような小説に出会うことができました。


蛇足ながら、ベストセラーである故のことですが、書評などを読むと少なからず批判も目にします。
その一つ一つにはなるほどと思わせるものも少なくありません。

例えば、戦争体験者の告白にしては饒舌すぎる、とか、兵士は忠実勇敢で将官は打算卑怯であるという描き方が一方的、とか、戦争全体を俯瞰した見方になっていない、とか、過去の資料を並べて再編集しただけのものである、とか、現代を生きる若者の描写がステレオタイプなどなど・・・

確かに頷かされることも多くあります。
しかし、そのような批判をまとめて天秤にかけても、この小説の圧倒的な面白さの比ではありませんし、この小説が我々に投げかける問題提起はゆるぐことはないでしょう。

特攻兵士たちは何を思い、何を守るために死んでいったのか?
それらの思いに、我々は応えているだろうか?

背筋をしゃんとせねば・・・と思った次第です。


永遠のゼロ お勧めです。

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2012年12月23日 (日)

永遠のゼロ

永遠のゼロ(百田尚樹 講談社文庫)読了しました。
久しぶりに感銘を受けた小説でした。

この小説がベストセラーとなっており、どこの書店でも平積みされているのは以前から知ってはいたのですが、ベストセラーであるほど敬遠したくなるという生来の天邪鬼な性格のため、しばらく手にすることはありませんでした。

また、永遠のゼロというタイトルを見ただけでは、その意図するところがが俄には分からず、何やらファンタジー的なものかいなぁ などと勝手に思っていたものです。
(ファンタジーは唯一苦手な分野なもので・・・)

そんな折、とあるテレビ番組に著者の百田尚樹氏が出演しており、その際にこの小説に対するトークが交わされたのを偶然目にしました。

ゼロ・・・零戦のことだったのですね。
そして、特攻で散った一人の兵士を描いた小説であるということも・・

となると、これは読まずにはいられない・・
その足で本屋に行き、購入した次第です。


この小説の主要な登場人物である佐伯健太郎は現代に生きる26歳、司法試験を4年連続で落ち、目標を失いニートのような生活をしています。
それが、ひょんなことから自分の祖父のことを調査するという事態へ誘われていきます。

健太郎の実祖父は神風特攻隊に志願して、沖縄戦で死亡していたのですが、そのことを知ったのは6年前に実祖母が亡くなった時でした。

血がつながっている祖父であるとはいえ、もはや遠い過去の人であり、健太郎にとっては突然知らない幽霊が現れたような話です。
さほど興味も持たず調べ始めたのですが、祖父の戦友だった人に話を聞くに連れ、少しずつ祖父の人となりが分かり始め、同時に大きな疑問も湧いてくるようになります。

あの時代、大東亜戦争時に生きた若い世代に何があったのか?
彼らは何を考え、何に思いを馳せ、何を守るために死んでいったのか?

祖父、宮部久蔵はその中でどのように振舞ったのか?

物語は、当時の戦友たちへインタビューを行い、彼らの独白を聴くという形で展開します。

宮部久蔵は天才的な飛行技術、戦闘技術を持ったパイロットだったが、しかしその天才性とは裏腹に、臆病者とか卑怯者とのレッテルを張られることもある人物だった。

命を捨てることが美徳であると言われた当時の戦時下にあって、命を大事にする、生きて帰るということを言うに憚らず、戦場では逃げてばかりだった。

最初の頃にインタビューした人たちからは、これらのように否定的な評価が下され、健太郎は打ちのめされてしまいます。
臆病者・・・今の自分に重ね合わせ、目標を見失ってふらふらしている自分には、やはり祖父の血が流れているのだろうか?

さらに、健太郎の姉が慕う新聞記者からは、特攻隊というのは狂信的愛国者として洗脳された集団であり、特攻はテロ行為に等しいなどという言葉も浴びせられるのですが、それに対する漠然とした違和感を感じながらも、それを否定することも修正することもできないもどかしさ・・
考えてみると、自分はあの戦争のことを何も知らないということに思い至らされるのです。

ここに来て、私達読者は一気にこの物語に引きこまれていきます。
そう、この佐伯健太郎はまさに私であり、私達なのです。

あの戦争のことをどれだけ理解しているだろう?
神風特別攻撃隊とは一体いかなるものであったのか。
そこに志願した、あるいは志願を強制された人たちは、何を考え、何を思い、何を悩み、何に葛藤し、どのようにして死を受容していったのか?

ページをめくるたびにベールが1つずつ引き剥がされていくようで、次第にそれらの全体像が明らかになっていくのです。

つづく・・


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2009年4月11日 (土)

ユージニア

たまには読後感なども。

恩田陸 「ユージニア」

実は、恩田陸を読んだのはこれが初めて。
ラジオの書評で紹介されていて、それで興味を持った。

賛否両論あるらしい。
ならば、読んでみよう、と思った。


分類は、ミステリー と言える。
ある一家を襲った、17名の毒殺事件。
それは、あの帝銀事件を思わせる。

犯人は? そして、その動機は?
これをテーマにストーリーは展開する。

ある人物が、この事件の関係者に次々とインタビューをし、彼ら(彼女ら)が語った言葉が淡々とつづられる。
この手法は、宮部みゆきの「理由」を思わせる。

様々な伏線と思われるような、意味深なテロップを散りばめながら話は進んでいく。

そう、ミステリーファンならおなじみの手法だ。
そして、期待する。
これらの伏線が一本につながり、そしてラストで衝撃的な、そして全ての霧が晴れていくようなカタルシスを望むのだ。

恩田陸という人、この展開はうまいのひと言。
心理描写は絶妙。
そして、その時の空気感や、音、温度、など、心象風景とともに、その場面の色彩が迫力を持って迫ってくる。

スターバックスの椅子に座って読みながら、背中に誰かの視線が張り付くようなひやりとした緊迫感を感じる。
ちょっと汗をかいてしまったかも?

そして、ラストへ・・

全てのなぞが解明される、その瞬間を期待しながらページをめくる。


しかし・・・

・・・


その期待は、見事に裏切られるのだ。

????

最後の瞬間は、そう、頭の中にはてなマークがたくさん飛び交っているよう・・


・・・・

これは・・一体?
どう解釈すべきなのか??

評価を計りかねる小説と言える。
賛否両論ある・・との意味が良く分かった。

ミステリーとして、このようなことがあっていいのか?
いや、これをミステリーというカテゴリーに入れてしまうことがナンセンスなのかも?

など、読後の決着をつけるために右往左往してしまう始末。

著者は、最後のボールは読者自身で受け取ってください・・と言っているのかもね。

私自身、どのように評価すべきか良く分からない。
数ヵ月後に、再読してみようかな?


もやもやしたい方へ・・お勧めです(かも?)

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