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2015年3月15日 (日)

意志の貫き方

木工家志望の方がいらっしゃいました。
大学三年生、若い(羨)

将来的には自身で工房を構え、自営したいとの由。
そのために、就活で木工所へいくべきか? とのご相談です。

むろん、その意志が固いのであれば、できるだけ早く木工への道に進むほうが良いでしょうが、しかし、木工職人というのは総じて薄給で、将来的な独立を考えた場合、開業資金を貯めるという点でなかなか厳しいところがあるかも?

では、普通の会社に正社員として就職し、とにかく開業のための軍資金を貯めるほうが良いのか?
確かに、金銭面においてはそちらのほうが有利かもしれませんが、しかし、この間は木工とは全く無縁の生活となるわけで、技術的な進歩はありません。

訓練校に行けば良いのでは・・
そうなのですが、しかし、例えば今から10年後に木工の訓練校がどれほど残っているのか?

ここ10年ほどにおける、訓練校木工科の相次ぐ閉鎖を考えると、甚だ心もとない状況です。
木工を学びたいときに、その受け皿がない。。ということになってしまう事態も否定できません。

理想的なのは、木工技術も、デザインも、また、事業経営などについても学ぶことができて、給料も良い木工所への就職ですが、果たしてそのような企業があるのやら??

ともかく、今から就活戦線へ乗り出していくわけなので、よく情報を収集して、納得いくところを見つけるようアドバイスを差し上げたのですが、そんなことを言いながら、言葉が上滑りするような空疎感を感じました。


意志があれば、何でもできるし、何とでもなる。
なんて言葉をよく聞きますが、それは過去に日本が右肩上がりの成長を続けていた時代であったからこそ通用した文言で、それを現在にそのまま当てはめることはできません。

過去の自身の成功体験を、自身の意志の賜であると誇ることはいいのですが、しかし、その意志を貫くことができた古き良き時代の経済背景にまで考えが及ばず、したがって全く無自覚のうちに増長してしまっている「大人」が、後進に対して志の重要性を説く・・という構図は、傍から見ているとほとんど説得力を持たず、ボタンの掛け違いのような無力感を感じてしまうのです。

アベノミクスで経済が好転すればまた状況も変わっていくかもしれませんが、それでも高度成長期や、また、80年代のような再現はもはや無理と思われますので、自分なりに先を見越して、どこにチャンスがあり、どこを目指して、どのように意志を貫いていけばよいのか? ということを、それこそ死に物狂いで考えていかねば活路は開けてこないように思います。

まあ、これは木工だけのことではないですけどね。


異論があるのを承知で書いております。

ただ、手作り家具というニッチの世界で15年間やってきた素直な感想として、このような作品なり商品が求められる余裕は、やはり経済の下支えがあってこそのことと思っています。

この点において、今から木工を目指す若い人たちは、先達の成功体験に囚われることなく、是非独創的で画期的な創造をしていってほしいと願う次第であります。

いや、もちろん若い世代ばかりではなく、我々も常にそれを考え続けなければ、将来の展望は開けてこない・・

木工志望者と話をするたびに、いつもそう思うのであります。


H君、頑張ってね。

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木工家志望の方へ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
異論はありません、その通りですね。
弟子をまともに育成する師匠は現代の日本にはまずいないと思います。 寂しいことですがこの方の行く末を考えた場合サラリーマンで生計を立てて余力(たとえば10年我慢して貯める)を作ってから勝負すべきでしょうね、その間の師匠は自分自身ですね。特に師匠は必要ないかもしれません(又はアメリカ・ドイツで修業した方がいいかもしれませんね)

投稿: Sentence | 2015年3月15日 (日) 20:20

Sentenceさん コメントありがとうございます。

手作り家具というものは、現代の大量生産、大量消費という経済システムに照らして、全く異端に位置しますので、通常の企業と同じような事業規模で運営することは、ごく一部の例外を除けば非常に難しいのが実情ですね。

なので、弟子を育てるような余裕は持ちようもなく、次第に先細りになってしまうのでは・・という危機感もあります。

今後、これら木工事情がどのように推移していくかわかりませんが、若い志のある方においては、旧来型の方法を踏襲するばかりではなく、是非新たな可能性を切り開いていってほしいと無責任ながら思ってます。

師匠はいらない、外国で学ぶ・・と言うのも選択肢としては確かにありますし、大胆な飛躍ができるのも若者の特権でしょうから、是非頑張ってもらいたいと思います。

もちろんワタクシも、、頑張ります。
v( ̄Д ̄)v オウ

投稿: 栗原@simple | 2015年3月16日 (月) 09:40

参考になりました。
主人が最近、静岡市で工房を始めました。
私自信は北九州に実家があります。
木工職人というかハンドメイドの作家といったところでしょうか。
なにかアドバイスがあればよろしくおねがいします。

投稿: みわ | 2015年7月12日 (日) 17:18

みねさん。

工房の開業、おめでとうございます。
アドバイス・・と言うには僭越ですが、やはり目標をはっきりと持って、それを実現するための長期、中期、短期計画を予算と合わせてきちんと立てることだと思います。

頑張ってくださいね♪

投稿: 栗原@simple | 2015年7月13日 (月) 10:18

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