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2011年9月26日 (月)

木工のため職を辞すということ

先日、木工志望の方がいらっしゃいました。
遠く、500キロ以上離れた地からはるばるおいでになりました。

現在会社員だが、来年に訓練校へ行き、その後独立を考えてられる由・・・

木工を志す者が通る、一般的(?)なコースですね。


訓練校に入るためには職を辞さなければなりませんので、その時点で無職となります。
このため、訓練校に行くことは今までの人生をリセットするようなゼロからのスタートとなりますので、なかなかその決断は難しい・・ということが誰しも悩むところだと思います。

特に、年令を重ねるほどに背負うものも多くなってきますので、さらにそのハードルは上がりますね。


一方、何かをやるのに年は関係ない・・との言葉を聞くことがあります。

まあ、それは確かなことではあるのですが、しかし、年を取るほどに目の前に立ちはだかる壁は確実に高くなりまますので、それを乗り越えるためのさらなる努力と、それを支える熱い情熱を持ち続けることが要求されます。

何かをやるのに年は関係ないが、年を取るほどその道は困難になっていく  というのが現実ですね。


さて、今回の木工志願者君は30歳。
この年令が早いか遅いかについては議論があることでしょうが、私が訓練校に行ったのは38歳の時のことですので、これと比較するならばずいぶん早い ということになりますね。

いろいろとお話をさせていただいたのですが、年齢も含めてまだまだハードルは低い との印象を持ちました。

なので、リセットして訓練校へ行くのも良いのでしょう・・・
以前ならばそのように薦めていたと思います。

しかし、10年ほど前と比べて雇用状況は一変しました。
今では、正社員という立場にいることが、あたかもプラチナチケットを手に入れたように貴重に語られることが多くなってきています。

安易にその立場を捨て去り、情熱に動かされるまま訓練校へ進むことが果たして良いのか?
と、アドバイスをするのに逡巡しています。

アマチュア木工家として実績を積み、サラリーマンとの二足のわらじを履き続け、数年様子を見ながら木工起業についての具体的戦略を書けるようになってから訓練校へ行っても良いのではないか?
いや、訓練校へ特にこだわらず、アマチュアからそのままプロへ移行することもできるのではないか?

と、そのようなお話をいたしました。


今の日本は滑り台社会などと言われています。
一度滑り台を滑り落ちると、再浮上することは相当に困難になるというのが今の社会福祉の実態であり、経済状況が作り出している現実です。

ところが、滑り台の上にいるときはその実態が見えないのですね。
会社に所属しているということは、厚生福利について二重三重の保護を受けているのですが、しかしなかなかこれに気づかない・・・

有給休暇もありますし、病気になっても給与は支給されますし、健康保険は半額で済みますし・・・
などなど・・

しかし、辞めた途端にこれらの保護がなくなり、そこで初めて滑り台の上にかろうじてとどまっていることに気づくのです。


今、木工起業を考えておられる方は、是非このような実態を冷静に見つめてほしいと願っています。
それを踏まえて飛ぶか、飛ばないか? 

それはもちろん、あなた次第です。


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コメント

私も同意見です。腕は確実に上がっているのに仕事量や価格は確実に下がってきています。仲間の木工家も同じ傾向です。
フラッシュ家具に転向したり、他のアルバイトをされている方も増えています。
私自身仏像彫刻だけではやっていけないので何でも出来る事は引き受けるようにしています。綺麗事など言ってられない状況です。
多分この状況は長期に、且つ悪い方向に行くと踏んでいます。
今まで無かった事ですが、遠方の銘木屋さんがわざわざ工房まで売り込みに来ています。
材が売れないようです。

投稿: 今野祥山 | 2011年9月26日 (月) 16:42

今野さん コメントありがとうございます。

手作り家具と言っても、商材である以上は巷の景気に左右されてしまうのは必定で、また、昨今のデフレ傾向が続く中で高額の家具を販売し続けることは、今後ますます難しくなっていくでしょうね。

この事態にどのように対処していくのか?

これは、今後常に突きつけられる大命題で、木工家一人ひとりの覚悟がより問われるようになるはずです。

木工を志望する人は、このような現実をきちんと把握し、それに備えるための戦略を練り、覚悟を決めて一歩を踏み出してもらいたいと願っています。

今までたくさんの木工志願者を応接してきました。
以前は木工へ進む熱意を積極的に応援していましたが、最近では押しとどめる場面のほうが多くなっています。

デフレ下での高額な手作り家具。
一筋縄では・・・・行きません。

投稿: 栗原@simple | 2011年9月27日 (火) 09:41

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