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2011年3月20日 (日)

原発はどうなるのか4

続きを書きます。

原子炉内部の問題に右往左往している背後で、もうひとつの問題が進行していました。
使用済み核燃料です。

使用済みとなった燃料は、原子炉(反応炉)から取り出され、建屋内の別の場所に保管されます。
しかし、この燃料は使用済みとはいえ、しばらくの間は熱(崩壊熱)を発し続けるため、常に冷却をしておかねばなりません。

このため、建屋内のプールの中で、水に沈められて保管されています。
水はポンプによって熱交換器に送れられて冷却され、循環し、常に一定の温度を保つようになっています。

しかし、停電によって、この冷却システムが停止しました。
その結果・・・


・冷却プールの水が徐々に加熱される

冷却システムが停止、水の循環が止まってしまったため、燃料からの発熱によって徐々に水温が上昇する


・水位が低下

水温の上昇によって、冷却水が徐々に蒸発
水位が低下する


・核燃料が空気中に露出

水位が下がり、核燃料が空気中に露出したのではないかと推定される
そう考える根拠は以下の通り・・

原発4号炉
この炉はメンテナンスのため休止中であった
しかし、保管プールには使用済み核燃料が保管されていた

そして、この4号炉の建屋が火事になる
休止中なのに・・なぜ??

このメカニズムは以下の通り

 ・プール内で使用済み核燃料が露出
 ・温度が上昇
 ・立ち上る蒸気と、核燃料被覆(ジルコニウム)が反応
 ・水素が発生
 ・これが何らかの原因で引火
 ・火災に至る

つまり、火災が発生したことが、使用済み核燃料の大気露出を推定する傍証となるのである


・大気露出の問題点

ここからは話が少々複雑になる・・・スンマセン

そもそも核燃料とは、ウランなどを固めて陶器のようなカチカチの状態にしたものである
そして、この陶器の表面が様々な核反応生成物(放射性物質)を閉じ込めておく第一の防御壁となる

次に、この陶器状の核燃料は、ジルコニウムの被覆で覆われる
これが、第二の防御壁である。

マスコミが使用済み核燃料と言っているのは、上述のように、ジルコニウムの被覆で覆われた陶器状の核燃料のこと・・
ここをまず押さえておきたい

これを踏まえて、核燃料の生涯をたどっていく・・・

核燃料は、作られた初期の段階ではさほど恐ろしいものではない
手に持ってもさほど問題ないシロモノらしい

ところが、これが原子炉内に挿入され、核分裂反応を引き起こすと、燃料内部に反応で生成された物質が溜まっていく
これが放射性物質と呼ばれるもので、さまざまな放射線を発し、人体へ影響をおよぼすこととなる


しかし、燃料が陶器状を保ち、ジルコニウムの被覆が健全であればさほど恐れることはない
放射性物質は陶器内に閉じこめられた状態となり、ジルコニウムの被覆がさらなる防御壁となって、大気中に拡散することはない

しかし、プールの水位が下がり、冷却がきかなくなって、燃料表面の温度が上がり始めると厄介なことになる


・ジルコニウム被覆の破損

ここからの推移は、前々回のエントリーで書いたのとほぼ同じであるが・・
温度が上がり続けても、1200度以下であれば大気中への影響は殆ど無い

しかし、1200度で水素が発生 ←建屋火災の原因
そして、1800度でジルコニウム被覆が溶解する
つまり、第二の防御壁がなくなることとなり、少々厄介なこととなっていく

放射性物質の中でも、気体の状態でキセノン、クリプトン、ラドンなどが大気中に飛散するが、これはさほど恐れるレベルではない

しかし、温度が3000度を超え始めると、核燃料の陶器が崩れはじめ、第一の防御壁がなくなる
ここに至って内部に閉じ込められていた核生成物であるヨウ素(半減期8日) セシウム(30年) ストロンチウム(30年) プルトニウム(24100年)などが放出されうことになり、事態は深刻になっていく


・今どうなっているのか?

建屋火災があったという状況証拠から推察するに、1200度を超えていたのは確かだと思うが、致命的な状態となる3000度超となったかどうかは不明
これについては、全くアナウンスがない

検出されていないのか、大本営発表なのか?

しかし、楽観論かもしれないが・・・使用済み核燃料である。
これが、3000度を越えるほどの発熱をするパワーを秘めているとは思えないのだが・・(素人意見)

もし、プルトニウムなんてものが発見されていたのなら、さすがにこれを隠蔽することはできないだろうと考えるのだが、いかがだろうか?????

まあ、このへんは憶測なので、軽く流してもらいたい(^_^;

・対策として

対策は一つ・・・ 冷やすしかない

ということで、連日報道されているのは周知のとおり
ヘリからの空中散布、機動隊や自衛隊の放水車

そして、昨日は東京消防庁の放水がなされた。

放射線のレベルは下がったようで、とりあえず・・一息ついているというのが現状であろう。

続きは、明日・・・は無理かな?


昨日、東京消防庁の会見を見ました。
地震当日、11日は都内で51件の火災があり、消火に専念。

しかし、12日からは原発への出動要請があることを想定して、様々な戦略を練っていたとのことです。

その結果、素晴らしい手際で、素晴らしい成果を上げてくれました。
高レベルの放射線下での決死の働き。

プロ中のプロ・・ 
会見を見ながら、感動して泣けてきました。

名もなきヒーロー達。
本当に、本当に、ありがとうございます。


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コメント

はじめまして

原子力は、遺伝子操作と同じような、いわば「神の領域」に人が手を出した技術だということが言えます。確かに煙も出さず、静かにエネルギーを生み出す原子力は、クリーンエネルギーと言えば言えるかもしれません。しかし本当の意味での、クリーンエネルギーは太陽光であったり、風力であることは誰しも疑うところは無いでしょうが、その歴然たるエネルギー発生量の差はまだとても埋めることができません。したがって化石燃料と比べればクリーンであるということで、批判をかわそうとしてきた訳です。

しかし、これまでにも様々な問題がおきており、まさに脚光を浴びることになった使用済み核燃料の処理、埋め立てなど永遠の課題も取り残されたままでいます。全く怖い心配事としては、テロなどでミサイルとか飛行機が原子力発電所を破壊したらどうなるかということは密かにずっと言われていることです。核反応が制御できるという思い上がった気持ちを捨て、改めて太陽光、風力、波力などの本当の自然エネルギーを活用する方向に、全力を挙げて科学技術の目を向けなおすべき時ではないかと思います。技術面だけではなく、政策的なアイデアとして原子力発電所を建設する費用を振り替えて、各家庭に太陽光発電を格安に提供してはどうかといった案も聞こえてきます。現実には課題が多いことはよく承知していますが、政策面での後押しを含めて、ゼロベースでエネルギー問題を考え直す契機になってくれればと思います。

話はそれますが、今回の事故、災害にあわれた方の心情を思いやると、本当に胸がつまる思いがします。
ただ、その一方で日本人として生をうけたことに、今ほど感動し良かったと思える時はありません。
「謙譲の美徳」という日本語は、たぶんどこの国の言葉にも訳せないでしょう。

投稿: kagerou | 2011年3月20日 (日) 09:32

kagerouさん、はじめまして。
深く考えさせられるコメントありがとうございます。

この機に、私なりに原発のことをいろいろと調べているところなのですが、人智を超えた自然の猛威は、人間が創り上げたシステムを根こそぎひっくり返し、安全神話は所詮虚構に過ぎなかったということを圧倒的なパワーで立証することとなりました。

9.11がその後の世界の有り様を大きく変えたように、この東北関東大震災は、全世界のエネルギー政策を転換するターニングポイントの3.11として永久に記録されるのではないかと思います。

この惨状を全世界の人が見てしまいました。

もはや、将来において原発を受け入れる自治体があるとは到底思えませんし、それは、世界に目を向けてもおよそ民主的国家であるならば、世界の誰も原発に対して首を縦に振ることはないと思います。

このように原発市場が先細りとなるのに加えて、この事故の検証後に安全設計も今よりもさらに重厚なものになることが求められてくると、原発は安全イデオロギーの問題以前に、もはやビジネスとして成り立たなくなるように思います。

このため、世界は必然的に脱原発というベクトルに沿ってエネルギー政策を考えていかねばならないことになるでしょう。

ドイツが早々と脱原発を宣言して、これを賞賛する向きもあるようですが、穿った見方をすると、世界が脱原発に転換するであろうことを見越して、新しいエネルギー政策のリーダーへと踊り出ようとする狙いがあるのではないか・・なんて考えてしまいます。


そこで、脱原発・・具体的にどうするか?
ということですが・・

火力発電の増設は地球温暖化防止の観点から難しく、水力発電は環境破壊を引き起こします。

ますは直近として、電力供給側には電力の送電ロスを減らす技術開発を、そして、消費側にはさらなる(30%程度)省電製品の開発を願いたいと思います。

また、個人的には西澤潤一氏(前東北大学総長)が提唱する、直流送電網を世界的規模で張り巡らし、効率の高い送電システムを作り上げるという大構想に期待しています。

様々な困難があるとは思いますが、原発に当てていた知恵を、是非ともこちらに振り向けてもらいたいと願っています。

kagerouさんが提案されているように、原発に充てる費用を各家庭の太陽光発電に向けることも良いプランで、技術開発もさることながら、受益者である我々一人ひとりがまずは自覚を新たにするということが最も大事ですね。


福島原発もまだまだ予断を許さない状況が続いていますが、被災者の方々の困窮については、毎日テレビで見ながら言葉にすることができません。

補給ルートも徐々に整備されつつあるようですが、一刻も早く救済の手が隅々まで伸びることを心より願っています。

とても悲しい出来事ですが、これを機に日本中が連帯してより良い社会をつくりあげていくことが、亡くなられた方々に対する最大の弔意となるように思います。

合掌

投稿: 栗原@simple | 2011年3月20日 (日) 12:24

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