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2009年1月 4日 (日)

反貧困4

訓練校の木工家出身者では、私のように独立したものもいますが、その多くは既存の木工所や建具屋さんへ就職することとなります。
木工業界が慢性的な不況にあるのはご他聞に漏れないところなのですが、それでもまだかろうじて求人はあり、訓練生の中でも優秀であれば乞われて就職することができました。

ただ、木工所は薄給です。
法が定める、最低賃金すれすれがその実態で、友人から聞いた話では夫婦と子供二人を養っていくのに給料だけでは到底足りず、夜間にコンビニのアルバイトをしていたという事でした。

憲法25条が定める生存権、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、という文言すれすれの生活実態がそこにあります。
しかし、それでも生活はかろうじて成り立っており、そして正社員でもあるのです。

このように、正社員の下限とも言える生活実態が、木工業界を通して見えてきます。
そして、これを補助線として派遣業務を見てみると、果たしてそれはどのような世界であるのか、そんな疑問が自然とわいてきます。


モバイト・ドット・コムの宣伝で、働きたいときに携帯でバイト先を探し、小金を稼いで旅行に行ったり彼女にプレゼントをすると言う風景が描かれていました。
しかし、これらは明らかに学生のアルバイトと同質のことで、これが政府の言う労働形態の自由化と選択肢の拡大であるならば、これはとんでもないことだという底知れぬ恐ろしさが、あのCMを見るたびに感じられました。

携帯を操作しながらその日の職を探し、それを生業とし、さらにはそれで妻子を養うという方法論は、学生ならばいざ知らず、少しでも社会を垣間見たリアリズムを持った眼には無謀な暴論に近く、それは正社員としてぎりぎりの生活を余儀なくされている見習いの木工正社員にも遠く及ばない、すれすれの低空飛行であるに違いないのは容易に想像できます。

トヨタが、キャノンが、空前の利益を上げる背後で、どのような労働形態がシステム化されていったのか?
それを思ったこともありましたが、すでに会社を去り、木工で独立していた私には身近に派遣社員の息吹を感じる事もなく、所詮は遠い世界のことになって関心もいつか薄れていきました。


そして、あの引き金が引かれました。
そう、リーマンブラザーズの倒産です。


つづく

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コメント

あけましておめでとうございます。
年末の派遣切りのニュースは
「やはり来るべき時が来た」という感じです。
webデザイン業界も最底辺の部類に入る業種で、派遣社員が日常化しています。
40代の自分からすれば派遣業などヤクザの人買いとしか映らないのですが、これほどまでに日常化するとある種の恐ろしさを感じます。
中小企業の過酷さは大企業の比ではなく、自分の会社もいつ倒産してもおかしくない状況で、ほんとに今年はどうなるんでしょうね。

投稿: パートシュクレ | 2009年1月 5日 (月) 00:47

あけましておめでとうございます。

新年早々おめでたくない話を書いています。
ちょっと長くなりそうな予感が・・

派遣業も、10年ほど前は雇用条件もしっかりしていました。
派遣社員といえども、立場は派遣会社に属する正社員で、月給であり、雇用保険などの福利厚生やセーフティーネットへの加入ももちろんありました。

ところが、最近では確信犯的に中間搾取などの違法行為を行う業者も少なくないようで、さらには貧困ビジネスのように、立場の弱い派遣者に巧みに借金をさせ、それでがんじがらめにしてしまうようなところもあるようです。

もちろん私も他人事ではありません。
自分のみは自分で守るという危機管理能力がさらに要求されることになりそうです。

全く、大変な時代になったものですね。

とにかく・・・
お互いに頑張りましょう。
今年もよろしくお願いします。

投稿: 栗原@simple | 2009年1月 6日 (火) 00:03

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