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2009年1月 3日 (土)

反貧困3

今思えば、まだ牧歌的な時代でしたが、しかし、その頃に派遣業務の危うさについて、すでに萌芽が生まれていたのかもしれません。
しかし、当時その危うさを指摘するような論調はなく、経済も弱いながらも持ち直しており、その危険性が表面化することはなかったのでしょう。 

ただ、まだ良かったことは、当時、派遣は専門的な13の職種に限定されていました。
そのため、絶対数も少なく、そして専門知識を身につけているために雇用が途切れることは稀だったのでしょう。

そして、私の友人のように、派遣社員から正社員へ転職を成功させた者もいました。
その理由を聞くと、やはり派遣社員と言う不安定な立場に不安を抱いてのことだったようです。
慧眼だったと言ってよいかもしれませんね。


その後、紆余曲折を経て専門職限定だった派遣の範囲が拡大され、ついに製造業務への派遣が可能となりました。
製造業務への派遣は、国際競争力を高めるためという経済界からの要望(圧力?)によって派遣法が改正され、実現しました。

世界に冠たるトヨタの生産方式に just in time と呼ばれる方法があります。
必要な物を、必要な時にという発想で、在庫を極力減らして無駄を防ぐと言う考え方です。

製造業への派遣とは、まさに人材と労働の just in time です。
つまりは、人も労働も、必要な物を必要な時に用いると言う方式で、ここに至って人と労働の市場化は法的根拠を与えられ、完成したといえます。

効率化が極限まで推し進められると、人までもが物と同じ次元に置かれ、生殺与奪の権限は企業が握ることになるのですね。

さすがにここに至ってその危険性を指摘する声が上がってきましたが、政府と経済界の言い分としては、企業の国際競争力向上が第一であると言うこと、そして企業が発展することによって雇用が安定し、経済を浮揚させることになるということ。
また、派遣の範囲拡大によって、人の働き方のバリエーションが増え、自由な労働の選択範囲が広がるとの大義名分が示されました。

一定の説得力がありましたし、事実その通りでもありました。
確かに、派遣法の改正以後、企業は業績と利益を向上させましたし、若年層は携帯のアルバイト情報を見ながら必要な時に必要なだけ働くという選択肢が生まれました。

グッドウィルのモバイト・ドット・コムががんがん宣伝されていたのはつい最近のことでしたね。

この頃、私はすでに会社を辞めて木工で独立していましたが、妙な時代が来たもんだと思いました。
それは、私が足を踏み入れた木工業界の内部事情を通して見えてきたことでした。


つづく


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コメント

あけましておめでとうございます。

ウンウンとうなずきながら拝見しています。お話の腰を折らないよう、コメントは完結してからにします。

投稿: forest | 2009年1月 4日 (日) 00:21

あけましておめでとうござます

新年早々、なんだか大変なことを書き始めてしまいました。

動機は、やはり昨年以来の派遣切りです。
私の友人に、多くの派遣社員がいますが、ニュースを聞くたびに彼らの顔が頭に浮かんできて消えません。

会社員当時、私も派遣社員の査定をする立場にいた関係上、贖罪としての感情も含めて到底他人事ではありません。

そのような時に、湯浅誠氏の「反貧困」を読み、感銘を受けると共に、私にもできることはとの思いを持ちました。

いつもながらにストーリーの組み立てもせず、行き当たりばったりで書き進めていますのでまた収拾がつかなくなるかもしれませんが、今しばらくお付き合いいただければ嬉しいです。

コメントも、お待ちしております♪

投稿: 栗原@simple | 2009年1月 4日 (日) 22:56

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